人からよく聞かれる質問が幾つかあります。

そのうちの一つが、


「なんで造園の勉強にフランスを選んだの?」


お恥ずかしいことに、私はもともとフランスには特に魅力を感じていませんでした。

「フランス?なんか薄暗くて寒そう。」

それくらいの、なんとも乏しいイメージです(苦笑)

それどころか、フランス人の色んな悪いウワサを耳にし、 フランスには全くいいイメージを持っていませんでした。

「フランス人は自己主義で、協調性がなく、権力主義者で、云々かんぬん。。。」

あげるとキリがないくらい。

(これを読んでいるフランス人の皆様、ごめんなさい。)



そんなアンチフランスに洗脳されつつあった私ですが 、いざフランスに上陸して住み始めて2〜3ヶ月経った頃、ふと思ったのです。

「フランス人、実はいいヤツばっかりやん!」

不思議なことに、私が出会ってきたフランス人たちは、どの人も大変親切な人たちばかりでした。


今年で在仏11年目になりますが、これまでの道のりは決して平坦なものではなかったものの、困ったときは必ずサポートをしてくれる人が現れました。

フランス人のおかげで私はここまで生きのびてこられた、といっても過言ではありません。

悪い人ばっかりだったはずのフランス。

なぜいいフランス人がこんなに激増(?)したのか?

それは単に私がラッキーだったというわけでは なく、新たな社会的ムーブメントが起きているわけでもなく、一つのポイントがあることに最近気づきました。




それは、

《造園》関係の方々 と多く付き合っていること。

実は、造園に携わっている人たちは、とっても心が広く優しい方が多いのです!



「そんなこといっても水真さん。あなた自身が造園家だから、勝手にそう思ってるだけでしょ?」

と言われてしまいそうですが、いえいえそういうわけではありません。(ちょっとあるかもですけど。笑)

造園家は 、自然や植物を相手に仕事するので、自然と心が寛大になってくるのだと思うのです。

農業や林業、漁業に携わる方もそうですが、大自然と共に生きている方々は、穏やかで、人の痛みがわかる感受性が豊かな方が多いのです。

少なくとも、私が出会った人々はそうでした。

自然に国籍はありません。暗黒の国フランスだろうが、自然と共同作業でお仕事されている人は、やっぱり深く優しいのです。




とはいえ、日本とは文化も習慣も全然違う国。社会システムの違いに苦労することは多々あります。特に最近起こったデモの暴動化には本当に怖い思いをさせられました。

特にサービスの面では日本は格別。


便利さ・住みやすさは、日本の方がはるかにいい、と声を大にしていえます!

鉄道のサービスの悪さに
「フランス人のわからずや!ちょっとは日本のサービスを見習えぃ! 」
と何度文句を言ったことか。
(フランス人の皆様、本当にごめんなさい。)


ここまでいうと、このような声が聞こえてきそうです。

「じゃ、日本で造園をすればいいんじゃないの?」

確かに、おっしゃる通りです。


ただ、私は、やっぱりフランスの造園にどうしてもこだわり続けてしまう理由があるのです。

それが、まさにフランス造園の魅力です。

いろいろあるのですが、とっておきの魅力があります。

それは、



「《遊び 》の精神」。


私がとても大好きな部分です。


主に2つの《遊び》があリます。




まずは、《遊び心》

例えば公園 を設計するときに、最初から機能性や決まりごとでガチガチに固めていくのではなく、自分の中から湧き出るインスピレーションに則って空間を発想し作り上げていく造園家が意外に多いと思います。

「前例? 事例? そんなこと知ったこっちゃない。自分がつくりたい世界 をつくる、ただそれだけさ。」みたいな姿勢を、フランス人造園家は多くは終始貫きます。

また、 「遊び心をくすぐる 」というエスプリを常に忘れないところも魅力的な部分です。

もちろん、彼らは造園を通して社会が抱える様々な課題に取り組むプロフェッショナル。ヘビーなテーマに果敢に挑みます。

でも心の中には、子どもが 自由な発想で遊びながら絵を描いたりものを作ったりするときの素直な感覚を、常にずっと忘れずに持ち続けているように感じるのです。




2つめが、《遊びを確保する》。

《遊びを確保する》=《ゆとりを持たせる、余裕の残す》の意。

フランス人の造園家は、仕事では常に100%完璧なものを仕上げることを目指しつつ、内心では大体70〜80%くらいできたらOKを出せてしまえる方が 結構多いように感じます。

言い換えると、《丁度いい加減》を図るのが上手なのだと思います。

この「120%全力で走りきらない。70%全力で走って、後は流して様子をみつつ調整する。」という姿勢。

一見「手抜き」とも思われがちですが、ガチガチに固めず「遊び」を残すことによって、新しい発想が生まれる《余地》を残す効果があるように感じています。

(もちろん人それぞれあると思います。あくまでも私の主観的な意見です。)



「遊び」という言葉は、お仕事の分野では、あまりいい意味で使われないことが多いですが、これを「気持ちのゆとり」と捉えると、 そんなに悪い言葉ではないなぁ、と思います。

《気持ちにゆとりがあるからこそ、いい発想が生まれる。》


そう捉えることもできます。



このブログをお読みの方の中には、休日に仕事をされる方も多いかと思います。

ちょっと視点を変えて、「《遊び》を仕事 に取り入れる」、というところに着目してみると、また違った世界が広がっておもしろいかもしれません。

(いうのは簡単なのですが。苦笑)


最後までご高覧いただきありがとうございました。


水真 洋子