いよいよ2019年です。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

皆様、素敵なお正月休みをお過ごしになりましたでしょうか?

 

最初の投稿でちょっとドキドキしています。

お正月の出来事について、少し書いてみたいと思います。

 

年末から年始にかけて、南仏のトゥーロンという街へ3泊4日で行ってきました。

パリからTGV(新幹線)で4時間弱、マルセイユから車で1時間程度のところに位置するこの街は、フランス第1の軍港として有名です。

日本では、ニースやカンヌほどの知名度はないかもしれませんが、ヴァカンスシーズンは多くの観光客で賑わいます。

 

トゥーロンの中でも私がとても気に入っているのが、サン-マンドリエ-シュール-メール(Sant- Mandrier-sur-Mer)という小さな村。

シャルム半島の先っぽに位置するこの漁村は、トゥーロン湾から連絡船で20程度で行くことができます。

南仏の大きな都市では年々観光地化が進み、高層住宅が増え、フランスっぽさが薄れつつある感が否めないのですが、

サン-マンドリエには高層ビルなどはなく、 緑豊かな風景がたっぷり残されています。

 

自然が豊かと聞くと、「未開の地なのでは?」と思われる方もいるかもしれません。

緑がたくさんあるのは、半島の大半が軍用地だから。

2世紀以上前からある軍用地のおかげで、宅地開発から守られ、古き良き南仏の雰囲気が今も生き生きと息づいているのです。

軍用地に怖いイメージしかなかった私は、軍用地のいい面に気づけて目から鱗でした。

(学生時代を沖縄で過ごし、アメリカ軍基地にあまり良いイメージがなかったので。。。)

 

いろんな好条件のおかげで、サン-マンドリエは、かわいいヨットハーバーもあれば、

広々とした松樹林の海岸もあり、水陸どちらも素晴らしい景観が残されています。

 

サン-マンドリエには 、いたるところにハイキングコースがあります。

その中でも、ランドスケープ好きの皆様にぜひおすすめしたいのが、地中海に面した散歩コース。

地図で見ると①〜③の区間になります。

 

地中海の眺めは絶景です。

年末は大変天気が良く、大晦日の日の入りを見ることができました。

 

 

さて、ここのハイキングコース。

私にはちょっとした小さな夢があります。

それは、いつの日か、ここを日本の造園関係者の方々と一緒にお散歩すること。

実はコース、至る所に 「これ、日本の関係者の方々がみたらどんなリアクションするかなぁ。」と思うところがいくつかあるのです。

 

その一つが、園路の整備。

断崖絶壁に園路が通されている箇所が数箇所あるのですが、手すりやガードが、かーなり《シンプル》な作りになっているのです。

例えば、こちら↓

木の根が浮き出て足元が悪いうえ、崖側には「え。。。これ、大丈夫?」と思うような簡素な柵があるだけ。

シースルーな柵のおかげ(?)で ありのままの断崖風景が目下に広がります。

(写真が若干ブレてしまってすいません。足がすくんでしまいうまく撮影できませんでした。。。。)

 

アップダウンがきつく、階段はとても急なのに、手すりは壁に打ち付けた金属製ロープ1本のみ。

崖側には手すりどころか、柵さえありません。

 

最初この道を通った時に、本当に驚きました。

「けが人がでたりしないのかな?」と気になりました。

ただ、とても不思議なことに、 すごく危険にみえるこのハイキングコース、利用する散策者が結構多いのです。

大人だけではなく、子どもたちもです。(小学校高学年くらいでしょうか)

臆することなく一生懸命歩く子どもたちを見ていると、一人の日本人造園家の言葉を思い出しました。

 

「日本では、公共施設を造る際、セキュリティー規則が大変厳しく、設計段階でいろいろと制約されてしまうんです。

よって最終的な実施設計案が、自分の当初の案とは似ても似つかないものになってしまうことも多々あるんですよ。

利用者に対して過保護な一面があるんですね。

ま、責任問題が発生するので仕方ないのですが。。。

ただ、空間は五感で感じるものです。

体全体で楽しめる空間を創ることが、私たち造園家の仕事の一つです。

日本では《いい空間》を創りづらい状態になっているとも言えますね。

大変残念です。(苦笑)」

 

確かに、散歩し終わった頃には、美しい風景への感動とともに、なんとも言えない達成感で心が満たされていました。

視覚で風景を満喫しつつ、断崖絶壁を全神経を研ぎ澄まして一歩一歩大切に歩いたことで、地中海の自然の美しさと厳しさを、五感すべてで感じることができたのです。

まるで、自然と自分の体が対話しているかのように。

シンプルに整備されていたことも、自然と体との間の距離をなくし、風景全体を体感できるために一役買っていました。(保護策などでガチガチに固めるのではなく)

危険とも言えるハイキングコースは、ちょっと見方を変えると、景観を体感できるお散歩コースだったのです。

「なるほど、このことが、あの造園家さんが言っていたことなのかぁ!」

造園のおもしろさと奥深さを、改めて痛感しました。

 

都市公園や自然公園、児童公園では、利用者の安全確保は大切なことだと思います。

ただ、 都市での日々の生活の中では《五感を研ぎ澄ます》ということはあまり意識する機会がなく、《人間力》が鈍ってしまうことも事実。

都市の中にあえて《五感を研ぎ澄ます、ちょっと危険な公園》なるものがあってもおもしろいかも、とふと思った1日でした。

 

 

2019年、皆様と、皆様の大切な方々にとって、実り多い素晴らしい年となることを、心からお祈りいたしております。

(初日の出の様子です)

 

最後までご高覧いただき、ありがとうございました。

 

 

水真 洋子

 

 

【参考資料】(お役にたつと幸いです)

サン-マンドリエ-シュール-メール市の公式サイト↓

https://www.ville-saintmandrier.fr

 

サン-マンドリエ-シュール-メール市の観光サイト↓

https://www.tourisme-ouestvar.com/office-de-tourisme-de-saint-mandrier-accueil-centre-ville-st-mandrier-sur-mer.html

 

サン-マンドリエの風景の数々↓

https://www.ville-saintmandrier.fr/decouvrir/saint-mandrier-en-images/

 

トゥーロン湾ーサン-マンドリエ間の連絡船のサイト↓

https://www.reseaumistral.com/en/trip-planner/4/JourneyPlanner

(「Start」の欄に「Toulon」と、「End」の欄に「St Mandrier 」と記入下さい。)